工業の一問一答と流れの解説
工業の立地の考え方、工業化の進み方、国際分業と各国の工業地域を学びます。まず流れの解説を読み、一問一答(28問)と、用語から説明を選ぶ4択で確認します。
一度の正解は「正解済み」、別の日にも正解すると「定着」と表示します。
流れの解説
工業の立地
工場がどこに建てられるかは、原料・労働力・市場・輸送などの条件で決まります。ドイツの経済学者ウェーバーは、原料や製品の輸送費が最も小さくなる地点に工場が立地すると考え、工業立地論を唱えました。製品にすると重量が大きく減るセメントや鉄鋼のような工業は、原料の産地の近くに立地しやすい原料指向型工業です。
これに対し、製品の輸送費が高い飲料や、流行や鮮度が重要な出版・食品などは、大都市の近くに立地する市場指向型工業です。衣類や電気機械の組み立てのように多くの人手を要する工業は、安価な労働力を求めて立地する労働力指向型工業になります。半導体のように小型・軽量で価格の高い製品は、航空機で輸送しても採算がとれるため、空港の近くにも立地します。
資源の乏しい日本では、原料や燃料を船で輸入するのに便利な港湾の近くに鉄鋼業や石油化学工業が立地しました。原料から製品までの工程をパイプラインなどで結んだコンビナートは、臨海部に多く見られます。
工業化の歩み
工業化は、18世紀後半にイギリスで始まった産業革命から本格化しました。機械の発明と蒸気機関の利用によって綿工業や製鉄業が発展し、炭田の近くに工業都市が生まれました。その後、工業化はヨーロッパ各地やアメリカ合衆国、日本へと広がりました。
第二次世界大戦後、ラテンアメリカやアジアの発展途上国の多くは、はじめ輸入していた工業製品を国内で生産する輸入代替型工業化を進めましたが、国内市場が小さく、効率の悪さが課題になりました。そこで、外国企業を誘致して輸出向けの製品を生産する輸出指向型工業化に転換し、成功した韓国・台湾・香港・シンガポールは新興工業経済地域(NIEs)と呼ばれるようになりました。中国も1980年代から沿海部に経済特区を設けて外国の資本と技術を導入し、急速に工業化しました。
中国やNIEsの工業化は、日本や欧米の企業が工場を移し、部品や機械を持ち込んで始まった面も大きく、アジアの国々の結び付きを強めました。
国際分業と多国籍企業
現在の工業では、部品の生産や製品の組み立てを、それぞれ条件の適した国に分けて行う国際分業が広がっています。研究開発は先進国で、労働力を多く使う組み立ては賃金の安い国で行うといった分業です。こうした国境を越えた生産を担っているのが、多くの国に拠点をもつ多国籍企業です。
電子機器の分野では、自社では工場をもたずに企画や設計に専念するファブレス企業や、他社から生産を一括して請け負うEMSの企業が成長しました。一方、先進国では、企業が生産の拠点を海外に移すことで国内の工場が減り、雇用が失われる産業の空洞化が問題になりました。
国際分業が進んだ結果、1つの製品が多くの国を経由して完成するようになりました。
欧米の工業地域
ヨーロッパでは、石炭と水運に恵まれたドイツのルール工業地域などで重工業が発達しました。イギリス南部からライン川流域を経て北イタリアに至る地域は、人口と工業が集中するヨーロッパの中心軸で、その形からブルーバナナと呼ばれます。フランス南部のトゥールーズでは、ヨーロッパ各国が部品を分担して生産する航空機の組み立てが行われています。
アメリカ合衆国では、五大湖周辺で鉄鋼業や、デトロイトを中心とする自動車工業が発達しました。しかし1970年代以降は日本などとの競争で衰え、工場の閉鎖が続いた地域はラストベルトと呼ばれるようになりました。代わって、温暖で土地や労働力が得やすい北緯37度付近より南のサンベルトで、航空宇宙産業や電子産業が成長しました。サンフランシスコ郊外のシリコンヴァレーには、半導体や情報通信技術の企業が集積しています。
ヨーロッパの工業の中心も、かつての炭田の地域から、臨海部や大都市の周辺、さらに賃金の安い東ヨーロッパへと移りつつあります。EUに新しく加わった東ヨーロッパの国々には、西ヨーロッパの自動車企業などの工場が多く進出しました。
アジアと日本の工業
アジアでは、NIEsに続いて東南アジアや中国で工業化が進み、中国は世界の多くの工業製品を生産するようになりました。インドでは、英語を話す技術者が多いことを生かして情報通信技術の産業が成長し、南部のベンガルールにはソフトウェアの企業が集まっています。先端技術産業は、大学や研究機関の近くに集積する傾向があります。
日本の工業は、京浜から北九州にかけての太平洋ベルトに集中して発達しました。愛知県豊田市などを中心とする中京工業地帯は自動車工業が特に盛んです。1980年代以降は円高などを背景に工場の海外移転が進み、国内では高度な技術を要する製品の生産や研究開発に重点が移っています。
工業化が進むと、産業の中心は軽工業から重化学工業へ、さらに機械工業や先端技術産業へと移っていく傾向があります。各国の工業の特色は、どの段階にあるかを考えると整理しやすくなります。
一問一答
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