農業の成立と農業地域の一問一答と流れの解説
農業の立地条件とホイットルセーの農業地域区分をもとに、自給的農業から企業的農業までの特徴をたどります。まず流れの解説を読み、一問一答(35問)と、用語から説明を選ぶ4択で確認します。
一度の正解は「正解済み」、別の日にも正解すると「定着」と表示します。
流れの解説
農業の立地条件
農業は、気温や降水量、地形、土壌といった自然条件の制約を強く受けます。作物にはそれぞれ栽培に必要な気温や水の量があり、たとえば稲は夏の高温と豊富な水を、小麦は比較的冷涼で乾燥した気候を好みます。その一方で、灌漑の技術や品種改良によって、自然条件の制約はある程度乗り越えられてきました。乾燥地域でも、地下水や河川の水を引くことで農業が営まれています。
農業の立地には、市場との距離や交通、労働力、資本といった社会条件も関わります。ドイツの経済学者チューネンは、市場からの距離によって輸送費と地代が変わるため、都市の周りに同心円状に異なる農業が並ぶというモデルを示しました。現在でも、大都市の近くで鮮度が求められる野菜や花を栽培する園芸農業が発達するのは、この考え方で説明できます。
保冷輸送や航空輸送の発達で、遠く離れた産地からも生鮮品が届くようになり、市場との距離の意味は変わりつつあります。
このように農業の分布は、自然条件と社会条件の両方を重ねて読むことでよく理解できます。
自給的農業
アメリカの地理学者ホイットルセーは、作物と家畜の組み合わせや、生産物を販売する程度などから世界の農業地域を区分しました。その中には、主に自分たちで消費するために生産する自給的な農業が含まれます。熱帯の森林や草原では、植物を焼き払った灰を肥料にして作物を育て、地力が落ちると移動する焼畑農業が行われてきました。
乾燥地域では、家畜とともに水と草を求めて移動する遊牧が営まれ、湧水や地下水路を利用できる場所ではオアシス農業が行われます。イランのカナートのような地下水路は、蒸発を防ぎながら山麓の地下水を集落や耕地へ導く工夫です。季節風の影響で雨の多いアジアの沖積平野では集約的稲作農業が、降水量のやや少ない地域では集約的畑作農業が発達し、多くの人口を養ってきました。
自給的な農業の地域でも、道路や市場の整備が進むにつれて、商品作物を栽培して現金収入を得る農家が増えています。
ヨーロッパの商業的農業
ヨーロッパでは、中世に耕地を3つに分けて回す三圃式農業が行われ、そこから穀物と飼料作物の輪作に家畜の飼育を組み合わせた混合農業が発達しました。冷涼でやせた土地の多い北海周辺やアルプス地方では、牧草を育てて乳牛を飼う酪農が中心になりました。大都市の周辺では、野菜や花を栽培する園芸農業が盛んです。
夏に乾燥する地中海沿岸では、乾燥に強いオリーブやぶどう、オレンジなどの樹木作物を夏に、雨の多い冬に小麦を栽培する地中海式農業が行われています。同じヨーロッパでも、気候の違いが農業の違いにはっきりと表れています。
ヨーロッパの農業は、EUの共通農業政策のもとで価格の支持や補助金によって保護されてきました。その結果、生産が過剰になった時期もあり、現在は環境保全や農村の維持に配慮した支援へと重点が移っています。
新大陸の企業的農業
アメリカ合衆国・カナダ・オーストラリアなどの新大陸では、広大な土地と大型機械を使い、少ない労働力で大量に生産して輸出する企業的な農業が発達しました。小麦を大規模に栽培する企業的穀物農業や、乾燥・半乾燥地域で肉牛や羊を大規模に飼う企業的牧畜がその例です。アメリカ合衆国では、気候に合わせて春小麦地帯、コーンベルト、酪農地帯などの農業地帯が帯状に分布してきました。
乾燥地域では、地下水をくみ上げて円形の農地に散水するセンターピボットの灌漑が広がりました。肉牛は出荷前にフィードロットで穀物を与えて短期間で太らせます。種子や肥料の供給から加工・販売までを手がけるアグリビジネスや、穀物の流通を握る穀物メジャーが、世界の農業に大きな影響力をもっています。
企業的な農業は生産性が高い一方で、地下水のくみ上げすぎによる水位の低下や、土壌の侵食といった問題も抱えています。大規模な単一栽培は、天候不順や価格の変動の影響を受けやすいという弱点もあります。
熱帯のプランテーションと農業の変化
熱帯では、植民地時代に欧米の資本と現地の労働力によって、輸出用の作物を大規模に単一栽培するプランテーションが開かれました。ギニア湾岸のカカオ、インドのアッサム地方やスリランカの茶などがその例です。独立後も、マレーシアやインドネシアでは油やしの栽培が拡大し、パーム油が大量に輸出されていますが、熱帯林の減少が問題になっています。
1960年代以降、アジアなどでは高収量品種と灌漑・化学肥料の普及による緑の革命で穀物の生産が大きく増えました。ただし、灌漑や肥料を用意できる豊かな農家とそうでない農家の格差が広がったという課題もありました。日本のように狭い耕地に肥料と労働力を多く投入する集約的農業も発達しました。土地の利用度を高めるため、日本ではかつて米と麦の二毛作が広く行われ、熱帯のアジアでは稲の二期作が行われています。
一問一答
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